Sunday, September 21, 2008

香莉みあき (Miaki Kari)



香莉みあき (Miaki Kari)
東京都在住のイラストレーター。
イラストレーターとして活動を始めたのは、2001年10月に発行したフリーペーパー 『野ばらちゃん通信』 からってことでいいんだろうか?。プロフィールについて質問しておけばよかったと今更ながら後悔。しかし、重要なことについてはちゃんと質問しているので、OK だ、問題ない。その重要なことというのは勿論、香莉みあきの作品についてのものである。

『不思議の国のアリス "Alice's Adventures in Wonderland"』 をテーマに絵を描こうとすると、多くの場合、オリジナルの挿絵を描いたジョン・テニエル (John Tenniel) に呪縛されてしまい、そこから逃れるのは至難の業といっていいだろう。『不思議の国のアリス』 を描こうとする者は、テニエルに寄り添うか、それとも反発するかを選択しなくちゃいけないのだ。例えば、テニエルの描いたアリスは、気難しげで、気分屋で、そして気紛れな少女特有の性格をこれ以上ないくらいに上手く表現している。この魅力に抗うのは難しい。アーティストによっては、第三の道、「テニエルの挿絵をなかったことにする」 ということに成功している場合も無くもないのだけど、そういった例はあまり多いとはいえないだろう。


さて、香莉みあきはどう対処したのかというと、登場人物の肌の部分を真っ黒なシルエットで表現してしまったのだ。こういった 『不思議の国のアリス』 を描いた人がこれまで全くいなかったという訳ではないだろうが、ボクはあまり見た記憶がない。多くのアーティストが自分だけの表情を持ったアリスを描こうと藻掻いている中、香莉みあきはそれを黒く塗りつぶしてしまった。この大胆さに驚き、かなり惹かれたので、作品の使用許可を求めた折に、このアイデアはどこから浮かんだものなのでしょうか?と質問をしてみた。頂いた答えをまとめると次のようになる。

アリスの顔などを影絵にしているのは、美術大学時代に顔の描き方が漫画っぽいと先生に言われ続けたことで描くことが出来なくなってしまったことに端を発している。しばらく自信喪失の状態であったのだが、そんなネガティブな意識の流れに、中原淳一や藤井千秋といった昔の挿絵画家の絵が好きで、そういった画家の影絵のノスタルジックな雰囲気を自作に取り込みたいという、意識の状態とは反対の思いが重なることで現在のスタイルが出来上がったという流れになる。
そんなネガティブな状態から生まれた影絵のような表現が、

『見る人によって、その方の理想のアリスを当てはめてみていただけているようで、「かわいい」という方も「美人ですね」という方もいらっしゃるのが興味深いです。』

とのことだった。香莉みあきのアリスを見る人は皆それぞれ、自分の中のアリスを投影することになるのだろう。表情がないが故に個々別々の、幾千幾万の表情が与えられることになり、表情がないが故にその表情は一層豊かになっていく。そういった逆説が起こる香莉みあきの作品だからこそ 『不思議の国のアリス "Alice's Adventures in Wonderland"』 の世界に相応しいといえるのかもしれない。


ポストしたのは、上から "どれがいいかな"、"ワルツはいかが?"、"クイーンアリス"、"小さな音楽会" の四点。

最後に、オフィシャルサイトに新作の展示会についての告知があったので、ここでもお知らせしておこう。

「アリスの庭園~薔薇の小部屋~」
会期: 2008年10月22日 ~ 2008年10月27日
会場: 表参道 ギャラリー同潤会

アリスの秘密の小部屋にご案内いたします。
絵画、雑貨(アクセサリー、帽子箱)など、新作を展示します。

今回は表参道ヒルズの隣りにあるギャラリーです。
秋の、知的かつ優雅な装いで遊びにいらしてくださいね♪

ギャラリー同潤会
〒150-0001渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ 
同潤会青山アパート再生棟「同潤館」2階 
mobile: 090-222-99203 (tel/fax: 03-5410-0660)
http://www.gallerydojunkai.com


- Le jardin de alice - 香莉みあき official web site
アリスの庭園

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